ありたさんぽホーム > 食と器 > 基調インタビュー

ありたさんぽ オープン記念基調インタビュー クニエダヤスエさん「有田焼と潤いのあるくらし」

クニエダヤスエさんの「有田焼と潤いのあるくらし」前編

【クニエダヤスエさん】

1932年東京生まれ。帽子デザイナーを経て、テーブルコーディネートの仕事へ。写真家である夫の仕事でニューヨークに住んだことがきっかけでシンプルライフの本質を知り、新しいライフスタイルを多方面のメディアで提案している。「クニエダヤスエの和食卓」(じゃこめてい出版、1680円)など著書も多数。

写真:クニエダヤスエさん(1)

1. 始まりは古伊万里から

写真:有田焼

私と器との出会いは、古伊万里から始まりました。私が生まれ育った東京麹町の家には、古伊万里の器がたくさんあったんですね。両親が古伊万里を集めていて、それを毎日の食事で使っていたんです。でも、私はそれがどんなに良いものか、気づかないまま大人になりました。お嫁に行くときも、家にあった古伊万里は一枚も持たずに。むしろ和食器ばかりで育った反動で、結婚してからはテーブルの上をすべて西洋皿で揃えて、それが新鮮でうれしくて仕方がなかったのを覚えています。

古伊万里の素晴らしさに気づいたのは、結婚後しばらくしてからのことでした。1963年前後、しばらくニューヨークで暮らしていた時に、知り合いの方が古伊万里を集めていらっしゃったんです。それがもうとっても素敵で。そこで初めて興味を持ちまして、昔家族で使っていた古伊万里がまだ残ってるかもしれないと思って、母に連絡をとったんですね。ところが残念なことに、あんなに山ほどあった皿小鉢は、その時にはすでに全部処分されてしまった後でした。それをきっかけに、自分で古伊万里を買い集めるようになったんです。

2. 有田の伝統にふれて

写真:クニエダヤスエさん(2)

初めて有田を訪れたのは1989年。テーブルコーディネイターとして仕事を始めてから2年ほど経った頃のことです。有田は古伊万里が生まれた場所でもありますし、母が集めていた器の中には有田焼もたくさんありましたから、それを作っている職人さんのところへ行ってみよう、と。

それから古伊万里の写しを作っていただくために、何度も何度も窯元に通いました。以来、7軒ほどの窯元の方々とおつき合いが続いていて、今はクニエダオリジナルの皿小鉢を作っていただいています。柄をプリントして作る大量生産の器と違って、クニエダの皿小鉢は少ない生産数で職人さんに手作りしていただいているので、プリントにはない味わいや温かみがあります。ぜひ手にとっていただけたらうれしいですね。

また、有田では陶磁器の歴史についてもたくさん勉強しました。特に古伊万里のコレクターである柴田明彦先生には、いろんなことを教えていただきました。有田の陶磁文化館には柴田先生の素晴らしい古伊万里コレクションが多く展示されているので、見ていただくととてもおもしろいと思いますよ。

3. 有田焼の魅力

写真:クニエダヤスエさん(3)

古伊万里、有田焼の中でも、私は白地にブルーで模様が描かれた染付の器が一番好きです。小さい頃からそういった色合いの皿小鉢でご飯を食べていましたから、惹かれるのはDNAによるものでしょう。これは食べ物を盛りつけるのにも最適です。ブルーと白の器ほどお料理を美味しく見せてくれるものはないんですよね。

古伊万里に関して言うと、現在出回っている幕末から明治以降に作られたものは、比較的カラフルな色合いが多いのですが、それより前の時代に主に作られていたのが、ブルーと白の染付です。その白というのも、乳白色というのか、少しくすんでいるのが特長で、現代の真っ白なものと比べると違いがよくわかるでしょう。そのような古伊万里ならではの白地を作るためには、土の割合が重要なのだそうですが、有田の職人さんたちは忠実に再現してくれているんですよ。

私にとって有田の町の魅力といえば、やはり有田焼に尽きます。なので、もっと広く若い世代の皆さんにも有田焼の良さを知ってもらい、さらに和食器のある暮らしの楽しさを知っていただけたらいいなと思っています。

クニエダヤスエさんの「有田焼と潤いのあるくらし」後編

4. 有田焼のある暮らし

写真:クニエダヤスエさん(4)

今の若い世代の方たちの生活というのは、純粋な日本人のスタイルではないですよね。まず、着物をお召しになって生活している人はいないでしょう。食に関して言えば、女性は特にご飯よりもパンを主食にしている方が非常に多いですよね。つまり感覚も好きなものも、どれをとっても外国の方とほとんど変わらないということ。だからこそ、もっと純粋な和の文化にふれ、日常の食卓に和をとり入れていただきたいと思うのです。

我が家では、毎日の食事で古伊万里や有田焼を使っています。高価なアンティークの古伊万里は「飾って楽しむもの」というイメージがありますが、明治・大正時代のものは、それ以前のものよりずっとお手頃です。それに、古伊万里も有田焼もとっても丈夫で。うちでは食洗機を使ったりしていますが、今まで一度も欠けたことがないんですよ。

私は小さい頃から古伊万里に親しんできましたし、とにかく器にさわっているのが好きなんです。使って、洗って、拭いて、しまって、出してまた使う・・・毎日それを繰り返している。その時間がとても幸せなんですよね。

5.「和」と「洋」のいい出会い

写真:有田焼

私は結婚後ある時期アメリカで暮らし、ヨーロッパをまわって帰国したのですが、その頃に経験したことは忘れません。向こうでは60年代当時から、食卓に和洋折衷を上手にとり入れている方がたくさんいらっしゃいました。たとえば、洋皿のディナー皿の上にサラダ皿を載せるのは洋食器の基本スタイルですが、27cmの洋皿に日本の七寸皿(21cm)を載せると、ちょうどそれと同じ格好になるんですよ。その斬新な感覚にふれた時、元々新しいもの好きだった私は、和洋折衷の「違和感のおもしろさ」にすぐに飛びついたんですね。

80年代、私は白い洋皿のテーブルコーディネイトを日本に紹介しましたが、最近の10年はずっと和の食卓に洋のエッセンスをとり入れたスタイルを提案してきました。

今、一番新しいのは、和食器で西洋料理を食べることじゃないでしょうか。洋食を有田焼でいただくのもいいですね。また、大きな漆の重箱にオードブルを並べたり、重箱の代わりに25~26cmの大皿を使うのもおすすめです。和の大皿にお料理別に小さな島を作って盛りつけ、漆のお膳に載せると、とっても素敵なんですよ。これは毎晩の食事やおもてなしにぜひとり入れてみてください。

6. 普段の食卓をもっと素敵に

写真:クニエダヤスエさん(5)

日本は和食、フレンチ、イタリアン、中華料理と、ありえないほどおかずの多い国で、和食器もまた種類がとても豊富にあります。そのため西洋と比べるとテーブルコーディネイションがとても難しいんですね。そこでまず、基本的な和食器を揃えておくと良いでしょう。七寸皿、五寸深皿、三寸小皿、そば猪口、飯椀、汁椀、箸、箸置き。これだけあれば、お料理に合わせて組み合わせを変えながら対応できるので、きっと重宝するはずです。

器選びによって、お料理の見栄えは全然違います。ですから、たとえば黒豆だったらこの小鉢に入れる、などと決めてしまわないほうがいいですね。だって毎回同じじゃつまらないでしょう。いろんな組み合わせを試してみたら、毎日の食卓がもっと楽しくなりますよ。

テーブルの演出で重要なのはクロスの「色」のコーディネイト。たとえば春には淡い桜色、秋には紅葉柄など、並べる器は同じでもテーブルクロスの色柄を変えるだけで、まったく雰囲気が変わるんです。それを自分で覚えていくと、どんどんセンスは良くなっていくんですよ。そんなふうに普段の食卓をより素敵に、楽しんでいただけたらいいなと思います。

前編のページへ | 後編のページへ

ページトップへ戻る

あなたを彩る有田の色 arita.jp

有田観光情報センター 佐賀県西松浦郡有田町岩谷川内2-8-1
電話 0955-43-2121 FAX 0955-43-2100 メール arita-info@castle.ocn.ne.jp

本文へジャンプする