走れ!!ありたファン

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「十八夜」という奇祭。

有田町の大木宿という地区で毎年8月18日に開催される、「十八夜」という奇祭があります。
僕は2年前にあるテレビ番組の取材でこのお祭りに密着させていただいて以来、この奇祭の魅力に取りつかれてしまいました。そこには、現代人が忘れてしまっている、日本の原風景があるような気がします。

ということで明日がその8月18日、この十八夜が明日行われますが、今日はその内容とタイムスケジュール、祭りの裏側を少し詳しく書きたいと思います。

まず、お祭りが開催される大木宿地区とは、美しい町並みや名所旧跡が数多く残る非常に風情のあるところです。有田焼を伊万里の港へ運ぶ有田街道の2つの道のうちの下手路の一部がそのまま残っているところもあります。普段は静かなこの地区が、この日だけは熱く燃え上がります。

大木宿宮の松前.JPG十八夜の歴史は古く、1658年、有田郷が大干ばつに見舞われたときに 行った「雨ごい浮立」がその起源だと言われています。

このお祭りに参加するのは、大木宿地区のほぼ全員。みなさんそれぞれに役割があります。
主役は、十八夜会と呼ばれるこの地区の15歳~45歳の男性(かつては15~30歳だったが、少子化に伴い数年前からそうなった)で、祭りを束ねる頭領は45歳の学年の中から選ばれます。祭りの練習が15、16、17日と3日間行われますが、都合で出席できないと罰金を払わなければいけません(当日の準備、祭り本番も欠席者は罰金)。
十八夜会の卒業生や中学生以下の子供たちは、浮立保存会などに所属し、笛などの楽器で祭りを盛り上げます。
そして家を切り盛りする女性にも大切な役割があります。祇園祭りですので、祭りの時間あるいは祭りが終わってから、たくさんのお客さんが家を訪ねて来られます。その接待の準備などで大忙し。「大木に嫁いで30年間、祭りも主人が何をしているのかも見たことがない」とおっしゃる奥さまもたくさんいます。こういう男女それぞれにきっちり役割があるということも、こも祭りの面白さだと思います。
とにかく地区の人たちの横のつながりが非常に強い。僕は密着取材のときに、自然にできあがっているこの力強いコミュニティに感銘を受けました。大木宿では犯罪は起きんな…と。


さて、朝6時(年によっては6時半)、鐘を叩く音と「集合!!」「走れー!!」「急げー!!」の声とともに、龍泉寺の本堂に集合、準備が始まります。祭りの準備はこの龍泉寺で、基本的にこの日1日だけで、全て手作りで行います。
DSC04005.JPG準備にはしっかりと役割があります。
これは門柱係。竹を切りに行き、スタート地点などに立てる門柱を準備します。
DSC04015.JPGDSC04040.JPGそしてこれが汁方(しゅっかた)。今年初めて祭りに参加する高校1年生の担当で、休憩中に食べる軽食の準備をします。包丁も持ったことなないような彼らが、地区のお兄様方の指導で料理をします。親や先生の話なんかろくすっぽ聞かないようなやんちゃな子でも、先輩方の話にはしっかりと返事をしながら聞いています。なんともほほえましい光景ですね。子供が地域の中で育つ、こういう習慣って、なくなってきているのではないでしょうか。この他に、高校1年生の仕事として、練習日より前に、太鼓用のバチにするための竹を切りに行くという作業があります。
DSC04019.JPGそしてこれが、ジャーモンという仕掛け花火を準備する係です。これは、頭領クラスの方が、龍泉寺の境内で行います。これの良し悪しが、祭りの成功のカギを握ります。
DSC04044.JPG他にも、提灯、法被、仕掛け花火など、たくさんの係があります。


そしていよいよ、祭りが始まるわけですが、夜7時ごろから上記メンバーによる浮立が、地区内を練り歩きます。地区内と言っても、歩く距離は400mほど、ゴール地点の龍泉寺まで、1時間ほどかけてたどり着きます。
DSC04097.JPG浮立の中でも、やはり役割があって、前立、一番鐘打ち、一番鐘負い、三番鐘負い、四番鐘負い、五番鐘負い、六番鐘負い、太鼓負い、地囃子負い、水持、役者などなど。
浮立の内容を大雑把に説明すると、浮立保存会の方々などの囃子の音に合わせて、一番鐘負いが持っている一番鐘という大きな鐘を、一番鐘打ちたちが走りながら叩いて回る、という感じです。

そして龍泉寺到着が8時くらい。
このころになると、お寺の本堂は見物客でびっしりと埋まってしまいます。
ここから喧嘩浮立「どてまかしょ」が始まります。これは十八夜会の中でも若手がやります。
ドテマカショ3.JPG一番鐘の前に前立という10人くらいが立ちはだかり、一番鐘打ちの10名くらいが攻めます。10対10くらいでぶつかり合い、取っ組み合ったり投げ飛ばしたりという喧嘩です。
彼らは先輩方からはやし立てられ、水をかけられながら、何回も何回もぶつかり合い、その姿は勇壮です。

そして「どてまかしょ」が終わるころ、お寺の本堂から「じゃーもん」が登場します。
DSC04124.JPG21時頃、この仕掛け花火「じゃーもん」で、祭りはクライマックスを迎えます。火をつけるのは頭領の役割。この時の頭領が非常にかっこいい。
ジャーモン3.jpgこの「じゃーもん」がド迫力!!で美しい。回転する仕掛け花火が3段あり、激しく回転しながらゆっくりと登っていきます。近くにいると火の粉が落ちてきます。

この「じゃーもん」の終了とともに一応祭りは終了。その後メンバーたちは地区内の家々を回ります。仏壇に100円玉をあげて手を合わせれば、食べ放題飲み放題。そうして数軒回るんです。そんなお客さんを迎えるために、女性たちは朝からその準備で大忙し。祭り自体を見たことないのも仕方ないですね。

朝方になり、みんな家に帰って潰れてしまうころに、ようやく本当に祭りは静かに終わりを迎えるというわけです。


この十八夜は、「ロンリープラネットジャパン」という世界中で発売されている旅行の本に大きく取り上げられたことにより、海外からのお客様も訪れるんですよ。
これがとても不思議なんですが、日本のお祭りをいくつか取り上げているページがあって、日本の有名な他のお祭りはせいぜい2行くらいで紹介してあるのが、この十八夜だけには、まるまる1ページを割いているんです。そこには「one of Japan's most remarkable festivals」とか「Almost everything about it is unique.」と書かれています。


書きたいことがたくさんありすぎてまとまりません。ごめんなさい。
とにかく、明日の夜は、忘れられた日本の原風景を見に、大木宿龍泉寺へ!!



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プロフィール

1980年有田町生まれ。    
埼玉県内にある大学の体育系の学科を卒業後、愛する地元・有田町に帰郷。
現在、町の商工・観光に関わる仕事をしています。
趣味はジョギング、焼肉。

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